寛政6年(1794年)5月、歌舞伎の役者絵を突如出版し、10ヶ月の間に150点もの作品を制作して姿を晦ました謎の絵師・東洲斎写楽。彼の正体についてはこれまでにも多くの議論が行われてきました。
現在は阿波の能役者斎藤十郎兵衛(さいとうじゅうろべえ)とするのが定説ですが、果たしてそれで全てが説明できるのでしょうか?写楽の全貌にこれまでとは全く異なる視点で迫ったのが本書『プロジェクト写楽』。
著者は、写楽がリアリスティックに40数名の役者を精緻に描き分けながらも、個々の役者はまるで鏡像のように全く同じ顔に描いていたことを究明します。彼の絵は、一人の役者に対してひとつの原型を制作し、それを大量にコピーすることによって作られていたのです。
一体なぜ、そのような手法が採られていたのでしょうか?
著者はここから、写楽の役者絵が、寛政の改革によって歌舞伎も出版も存亡の危機に瀕していた18世紀末の江戸文化にとって起死回生の勝負をかけた事業であったという新たな視点を提起し、さらには、従来の「偉大な芸術家」写楽像をくつがえす、江戸の版元・蔦屋重三郎がプロデュースした前代未聞の戦略的なサブカルチャー・ビジネスであったことを解き明かしていきます。
そこには世界中で愛される「写楽」と、「クール・ジャパン現象」と称される現代のマンガ、アニメ、ゲームなどのキャラクター・ビジネスとの共通項がありました。
1954年東京生まれ。
早稲田大学文学部美術史学専攻課程修了。旬刊紙『新美術新聞』編集長、美術専門誌『アート・トップ』編集長を経て、現在は美術専門のライター、編集者として活動。
また、東京の地域エリアにおける江戸文化プロジェクトの推進にかかわる。美術企画出版代表、国際浮世絵学会会員。
写楽の作品展が東京・上野の東京国立博物館で開催されます。
本書を読んで鑑賞に行けば、展覧会の見方も変わるかも?!
開催概要はこちらをチェック!
http://sharaku2011.jp/












